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無権代理の相続 越谷の相続・遺言・相続放棄などのご相談は美馬司法書士・行政書士事務所
総説
無権代理行為がなされた場合、本人は追認権、追認拒絶権を有します。また無権代理人は、相手方の選択にしたがい、履行または損害賠償義務を負います。
これに相続が絡む場合に、追認拒絶権と履行・損害賠償義務が実質矛盾するため議論のあるところです。
無権代理人相続型
無権代理人が本人を相続した場合、無権代理人は本来の履行または損害賠償義務を負う一方、相続により本人の追認拒絶権を承継します。
しかし判例学説は、この場合に本人の立場を主張し、追認を拒絶することはできないとしています。
その根拠として判例は、単独相続事例につき、本人と無権代理人の資格が同一人に帰したときは、本人自ら法律行為をしたと同様、当然有効となるとしています。
他方、多数説は、仮に当然有効となると解すると、共同相続の際に無権代理人以外の相続人の利益を害することに配慮して、無権代理行為をなした相続人が、本人の立場で追認を拒絶することは信義則上許されないとされています(資格併存説)。
共同相続の場合につき、最高裁は、追認権は共同相続人全員に不可分的に帰属し、全員の共同の行使を要すると前提のもとに、他の共同相続人全員が追認している場合に無権代理人が追認を拒絶することは信義則上許されません。
他の共同相続人全員の追認がない限り、無権代理行為が無権代理人の相続分に相当する部分においても当然に有効となるものでなく、このことは無権代理行為が金銭債務の連帯保証契約の場合でも同様であるとしました。
判例のいう不可分的帰属と全員による共同行使の背景には、本人の追認権がその死亡により無権代理人を含む全相続人による準共有となったところ、追認が未確定無効の無権代理行為を有効とする処分的効果を生じさせるため、共同相続人全員の合意を要するとの論理があります。
なお本人が、無権代理行為の追認拒絶ののちに死亡して無権代理人が相続した場合、本人の追認拒絶により無権代理行為は本人に行為が及ばないことに確定し、その後に無権代理人が相続してもその効果に影響はありません。
本人相続型
本人が無権代理人を相続した場合は、本人は固有の権利として追認拒絶権を行使できます(資格併存を前提に本人の追認拒絶権は信義則に反しません)。
他方、相続により承継した無権代理人の義務として、相手方の選択にしたがい、履行または損害賠償義務を免れません。ただ、このように解すると本人に追認拒絶を認めた実質が失われることになります。
学説上は、無権代理行為が特定物引き渡しを内容とする場合に、無権代理人を相続した本人は、履行義務を負わず、損害賠償義務のみ負担すると解する者が多いようです。
論拠として、相続がなければ本人は特定物を失わず、相手方も損害賠償しか得られなかったのであるから、相続という偶然により不当に利益を得るべきではないからです。
加えて、他人のもの(特定物)の売買において、所有者が売主を相続した事例につき、所有者は履行義務を負わないとする判例との整合性を認めています。
双方相続型
第三者が本人と無権代理人の双方を相続した場合について、最高裁判所判例昭和63年3月1日は、次のように述べています。
無権代理人を本人と共に相続した者が、その後さらに本人を相続した場合においては、無権代理人を相続した者は、無権代理人の法律上の地位を包括的に承継します。
その後本人を相続したとしても、そのことに変わりはありません。当該相続人は、本人の資格で無権代理行為の追認を拒絶する余地はなく、本人が自ら法律行為をしたと同様の法律上の地位ないし効果を生じます。
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