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遺留分侵害額請求権の行使 越谷の相続・遺言・相続放棄などのご相談は美馬司法書士・行政書士事務所
遺留分侵害額請求権の行使方法
遺留分侵害額請求権は形成権であり、必ずしも裁判上の請求による必要はなく、一旦その意思表示がされた以上、法律上当然に請求額の侵害の効力を生じます。
裁判例として次のようなものがあります。
「遺留分侵害額請求権は、形成権であって、その行使により贈与または遺贈は遺留分を侵害する限度において執行し、受贈者または受遺者が取得した権利は右の限度で当然に遺留分権利者に帰属するものと解すべきものであることは、当裁判所の判例とするところです」(最高裁判所判例 昭和57年3月4日)
自己持分のみの権利行使
遺留分権利者が数人いても、そのうちの一人は、自己の持分のみについて、遺留分侵害額請求権を行使できます。遺留分権利者が共同で遺留分侵害額請求権を行使する必要はありません。
遺留分侵害額請求権の行使(遺留分侵害額請求の意思表示)によって、遺留分侵害額に相当する金銭債権(金銭給付請求権)が生じます。
侵害額請求権を一人だけで行使する場合、相続を証する情報は、被相続人との相続関係すなわち遺留分権利者であることを証する戸籍謄本で足ります。
遺留分侵害額請求の方法
遺留分侵害額請求権は形成権であり、意思表示の方法によって行使すれば足ります。
その際、遺留分侵害額(金額)を具体的に示して、意思表示をする必要はありません。とはいえ、その意思表示には、遺留分を侵害されたことによる侵害額を請求するものであるとの、遺留分権利者の意思が表れているものでなければなりません。
金銭給付請求権が履行遅滞に陥る時期
遺留分侵害額請求の意思表示をすることによって、遺留分権利者は、相手方に対する金銭給付請求権(金銭債権)を取得します。
この金銭債権(相手方からみて金銭債務)は、期限の定めのない債権(期限の定めのない債務)であり、遺留分権利者が相手方に対して、その履行を請求した時より履行遅滞に陥ります。
もっとも、履行の請求をしたといえるためには、遺留分権利者は相手方に対し、具体的な金額を示してその履行を請求することを要します。
すなわち、遺留分侵害額請求の意思表示をするには、金額の明示は不要ですが、金額の明示のない侵害額請求をしただけでは、相手方は履行遅滞に陥りません。
遺産分割協議の申入れと遺留分の主張
遺留分侵害額請求の意思表示により生じた金銭給付請求権は、被相続人がした遺贈・贈与などを有効であるとしたうえで、遺贈・贈与などによって遺留分を侵害された者が、受遺者・受贈者などに対して金銭の給付を求めるものです。
しかも、裁判になったときには、通常の訴訟事件で処理されます。そして、そこでの訴訟物は、遺留分侵害額請求の意思表示により生じた、金銭給付請求権です。
これに対して、遺産分割は遺産に属する相続財産を対象として行われるものであり、かつ、相続人間での協議を前提とし、最終的には審判で処理されます。
このような遺留分侵害額請求の意思表示により生じた金銭給付請求と、遺産分割との間での要件・効果の相違、および裁判手続きの違いに鑑みれば、遺留分を侵害されたと主張する相続人が、自己の遺留分を主張して、金銭の給付を求める行為は、遺産分割の手続きを申し入れる行為とは、分けて捉えるのが適切でしょう。
遺留分を侵害された相続人が、遺産分割協議の申入れをしたり、家庭裁判所に審判を申し出たりしたとしても、これによって直ちに遺留分侵害請求をしたとは言い難いでしょう。遺産分割協議の申入れの中に、遺留分の主張が含まれると解するのは適切ではありません。
もっとも、遺言により全部包括遺贈がされた場合において、遺留分を有する相続人が、全部包括遺贈の効力を争うことなく遺産分割協議の申入れをしたときは、この申入れには、遺留分侵害を理由とする権利主張(遺留分侵害額請求)が含まれているとみるのが、合理的でしょう。
それゆえ、特段の事情のない限り、その申入れには遺留分の侵害を理由とする権利主張が含まれているものと解すべきでしょう。
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