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遺言撤回権放棄の禁止 越谷の相続・遺言・相続放棄などのご相談は美馬司法書士・行政書士事務所
① 遺言者は、遺言中にこれが最終の遺言でこれを撤回することはないと表示しても、あるいは受遺者その他の者と撤回しない旨を約しても、このような表示は無効であり、遺言者を拘束するものではないから、遺言者は自由にその遺言を撤回することができます。撤回権の放棄は、人の自由の一部を終生放棄するもので、公益に反するともされます。
② 撤回の自由は、遺言自由の重要な一面ですが、それが認められる理由としては、次のようなものです。第一に、遺言は遺言者の最終意思を尊重することを建前としていることです。第二に、遺言作成のときとその効力発生のときとの間には、かなりの時間的隔たりがあり、また事情の変更もありうるから、遺言者が当初の意思に永久に拘束されるとすることは、遺言者にとり酷であることです。第三に、遺言の撤回により、何人の利益をも害するものでないこと、などが挙げられます。
③ ローマ法では、「死者の意思は生命の最後の果てまで可動的である」「何人も前の遺言より離るることを得ざることを約款となすことを得ず」とする鉄則をかかげ、遺言の撤回に違約罰を付することを禁止して、遺言の自由を保持していました。
④ ドイツ・フランスの中世法では、遺言が相続契約とともに同一の死因贈与から発展したものである関係上、相続契約と同じく遺言撤回権の放棄が認められていました。近代法でもオーストラリア民法は、このような約款を認めていたと言われています。したがって、遺言の撤回権が遺言の要素となったのは、近代にいたって一般化した現象であると言われています。撤回権が遺言の要素であれば、民法第1026条(遺言撤回権放棄の禁止)は、必ずしも必要としないのではあるが、民法は特に注意的にこれを規定したものと見るべきでしょう。
⑤ 遺言者は撤回しないという約款に拘束されないから、たとえば、第一遺言で撤回しない旨を明示しておいて、これと矛盾する第二遺言を作ってもよく、遺贈目的物を生前行為で他に譲渡してもよいのです。それにより第一遺言は撤回されることとなります。またたとえば、第一遺言で、認知し、これを撤回しない旨を表示しても、第二遺言で撤回すれば、たとえ真実の親子関係が存在しても、第一遺言を理由に認知届をすることができず、第一遺言は強制認知の際の有力な証拠となるにとまります。
⑥ 詐欺・強迫によりなされた遺言の場合には、その撤回権と取消権との関係が問題となります。たとえば、甲が乙の詐欺により、乙を受遺者とする遺言をした場合は、甲が乙の詐欺を発見しながらこの遺言を追認したとしても、その後、甲がこれと矛盾する遺言をし、あるいは遺贈目的物を破棄するなどの行為をした場合には、乙への遺贈は撤回されたことになります。遺言は未だ効力を生じていないから、取消権の放棄は問題とならず、また撤回権の放棄は許されないからです。遺言者の生前には、遺言者本人については撤回権のみが問題になります。
⑦ 次に、甲が乙の詐欺・強迫により、乙を受遺者とする遺言をしたのち死亡した場合において、甲が追認しないで死亡したときは、相続人が取消権を行使して乙への遺贈の効力を失わせることができます。甲が追認して死亡した場合、その追認の意思が遺言の中で明示されていれば、遺言書の訂正・変更とみて処理すればよいでしょう。それが単純な意思表示でなされているときも、遺言者による撤回がなされていない限り、取消権の放棄があったものと見てよいから、相続人は、取り消すことができないとすべきでしょう。
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