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遺言の「抵触」の解説 越谷の相続・遺言・相続放棄などのご相談は美馬司法書士・行政書士事務所
① 抵触とは、前の遺言を失効させなければ、後の遺言の内容を実現することはできない程度に内容が矛盾することをいいます。後の遺言が、前の遺言に条件をつけた場合は、ここにいう抵触ではありません。抵触の有無の程度は、事実問題ですが、形式的に決定すべきではなく、遺言の解釈によりその全趣旨から決定され、必ずしも遺言の内容を実現することが客観的に絶対不可能であることを要しません。
② 要するに、抵触するか否か全部抵触か一部抵触かは、もっぱら遺言書の全趣旨から判断されねばなりません。たとえば、前後両遺言で、それぞれ甲・乙両名が未成年後見監督人に指定された場合、客観的にはこの指定も可能になるが、遺言者の意思が一名を指定するものと認められる場合には、前遺言は全部抵触で失効することになります。
③ 下級審の判決ですが、「第二遺言書には、特に第一遺言を取り消す旨を明示してはいないけれども、遺言の全趣旨から右遺言者の意思は、結局第一遺言を全面的に取り消したうえ、第二遺言書のとおり各不動産を特定して、それぞれ被控訴人などに遺贈するにあるのであって、第一遺言と第二遺言とは一部同一趣旨のものを含んでいるけれども、遺言の全趣旨からみれば2個の遺言は全面的に抵触するものと解するを相当とする」とするものがあります。
④ 互いに抵触する遺言が、同一日付でなされている場合は、事実上後に作られた遺言が優先します。多くの場合、一切の事情よりすれば、前後の決定は必ずしも困難ではないと思われるので、特に規定しなかったと言われるが、前後がまったく不明な場合については争いがあります。矛盾する意思表示が同時になされたものとして、抵触する部分はともに無効とすべき説、ともに有効として一方を失効し他方に対しては賠償すべき説があります。
下級審のものですが、同日付の危急時遺言と公正証書遺言があった場合について、後者の内容がより詳細である点などからして、前者中後者により撤回されたと認められる場合を除いて、両者とも有効とした判決があります。
⑤ 全部の遺言が互いに抵触するときは、その抵触する範囲において、前遺言が撤回されたものとみなされます。たとえば、第一遺言で不動産を甲に遺贈し、第二遺言で同一不動産を乙に遺贈したときは、全抵触で不動産は乙に帰属します。また、第二遺言で同一不動産上に丙のために地上権を設定したときは、一部抵触で、地上権付き不動産の甲への遺贈として第一遺言は有効となります。さらに、第一遺言で甲のために不動産上に地上権を設定し、第二遺言で同一不動産を乙に遺贈した場合には、第二遺言で地上権付き不動産を遺贈する趣旨が明らかでない限り、第一遺言は撤回されたものとみなされます。
⑥ 撤回の擬制は、遺言者の合理的意思の推測にもとづくものではあるが、たとえば、前の遺言を忘れていて、実際上遺言者に撤回の意思はなくても、擬制の効果は生じます。ただ、後の遺言で、前の遺言を撤回しない旨を明示した場合には、撤回の擬制はなされません。たとえば、前の遺言で不動産を甲に遺贈し、後の遺言で同一不動産を乙に遺贈するとともに、前の遺言を撤回しない旨をも遺言中で明示してあれば、甲・乙両名に遺贈する趣旨、すなわち甲・乙の共有とする趣旨と解すべきです。
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記事作成 司法書士・行政書士 美馬克康
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