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遺言執行者は遺贈義務者か否か 越谷の相続・遺言・相続放棄などのご相談は美馬司法書士・行政書士事務所
① この問題は、あまり議論の対象とされることもないようです。ふつう、遺贈義務者とは相続人を指し、相続人不在の場合の法人もこれにあたると説明されています。これらのことより遺言執行者が、遺贈義務者のなかに加えられるべきかという問題を、考慮の外においた説明かと思います。遺贈の効力に関連して、遺言執行者を遺贈義務者とみる場合には、特定遺贈の放棄について、執行者もその意思表示を受領できるという便宜があります。しかし、執行者も追奪担保責任を負うということになります。
② 少なくとも遺贈の履行義務が、第一次的に遺言執行者にあるという意味では(執行者が存在する限り、相続人は相続財産に対する処分権を失う)、執行者を遺贈義務者(正確には遺贈履行義務者)と表現することもあろうかと思われます。遺言の執行をめぐる法律関係について、執行者が当事者になることを端的に説明できるからです。もっともこの問題は、多分に用語の問題であり、執行者は強いて依存義務者と表現しなくとも実害はありません。
③ 思うに、個々の問題ごとに、登記については登記義務者といい、訴訟追行については法定担当者として当事者能力を持つといえばよいことかもしれません。判例は後者の立場をとっています。
④ たとえば、一下級審判例は「遺言執行について、遺言執行者の定めがあるときは、遺言執行者のみなしえます。よって受遺者は遺言執行者に対して、その履行を請求できます。また遺贈義務者が、遺言執行者に対し、遺贈義務の履行をなさざるときは、遺言執行者は遺贈義務者に対し、請求をなしえます。受遺者は直接遺贈義務者に対し、履行の請求をなしえません」として遺言の執行をめぐる法律関係を、受遺者・遺言執行者・遺贈義務者の三面関係として捉えています。遺言執行者を、遺贈義務者と構成する立場に立てば、遺贈の執行については、受遺者は遺贈の履行請求を、遺贈義務者である執行者に対してなすべきであります。相続財産に処分権を持たない相続人に請求することはできないと説明することになるでしょう。
⑤ 次に、遺言執行者と遺産管理人の併存(競合)を考えてみましょう。
現行相続法は、遺言執行者を遺産の清算人として捉えなかったのみならず、他に遺産管理人が存在する場合の両者の権限の調節にも意を用いなかったようです。そのため、両者が併存する場合には、遺言執行者と他の遺産管理人の権限をめぐって、厄介な問題が生じています。
⑥ 限定承認または財産分離手続きを遂行する遺産管理人と、遺言執行者の関係は、比較的容易に解決がつくようです。限定承認または財産分離があると相続財産は凍結され、遺産債権者に対する弁済が、受遺者に対する弁済に先行するから、遺産管理人の管理処分権が、執行者の管理処分権に優位しますと、考えるのが素直でしょう。執行者に遺産債務の弁済が委託されている場合であっても、限定承認や財産分離による清算手続きは、法定の手続きにしたがってなされなければなりません。被相続人の意思によって、この法定手続きを変更することは許されませんから、執行者の権限が、清算手続きの継続中休止すると解する妨げにはなりません。
記事作成 司法書士・行政書士 美馬克康
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