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第三者の権利の目的である財産の遺贈 越谷の相続・遺言・相続放棄などのご相談は美馬司法書士・行政書士事務所
① 民法1000条は「遺贈の目的であるものまたは権利が、遺言者の死亡のときにおいて、第三者の権利の目的であるときは、受遺者は、遺贈義務者に対し、その権利を消滅させるべき旨を請求することができません。ただし、遺言者がその遺言に反対の意思表示をしたときは、この限りではありません。」と規定しています。これは、特定物遺贈の目的であるものまたは権利が、地上権や抵当権の目的となっている場合に、受遺者は遺贈義務者に対して、その権利を消滅せしめようと請求し得ないとする規定です。
② 第三者の権利とは、用益物権は含まれます。すなわち、遺贈の目的である土地の上に存在する第三者の地上権、永小作権、地役権が本条でいう第三者の権利に含まれることについては異論はありません。賃借権も用益物権と同視すべきです。対抗力のある賃借権、借地権、借家権、小作権などを用益物権と同視すべきことについては問題はありません。しかし、動産上の賃借権については、遺言者の意思解釈の結果、遺贈義務者において目的物の返還を受けた上で、受遺者に交付すべきものと考えられる場合が多いでしょう。
③ なお、動産賃借権は、譲受人に対抗できないから、受遺者からの返還請求を第三者は拒むことができません。したがって、受遺者が所有権にもとづく返還請求をした場合、賃借人である第三者は受遺者に返還せざるをえず、相続人に対して債務不履行にもとづく損害賠償を請求することになります。
④ 第三者の権利が担保物件であった場合(たとえば抵当権)受遺者はその担保権の消滅を請求することはできません。これは相続開始当時における、そのままの状態で、遺贈の目的物を引き渡せばよいと解するからです。しかし、本条は受贈者と遺贈義務者との関係についてのみ規定するものです。物的担保権者である第三者は、追及権を持つから、その目的物が遺贈されたと否とにかかわらず、そのものの上に権利を行使することができます。したがって受遺者は、担保権の実行によってその者の所有権を失う危険があるときは、債務の弁済を強いられることになります。そして、弁済後は一般の物上保証人あるいは担保付物件の譲受人と同じく、債務者に対して求償できることになります。
⑤ 以上が本条起草者の解釈です。すなわち、本条は物上負担に関するのみで、それが担保する人的債務に関するものではありません。担保債務を弁済した受遺者は、遺言者が債務者であったときは、人的債務は相続人に相続されるから、相続人に対して、求償権ありとするものです。これに対しては反対意見もありますが、受遺者は、物上保証人としての責任を負うのみで、物上保証人の求償権まで制限するものではありません。したがって、債務者が相続人であるとその他の者であるとを問わず、受遺者は求償できるものと解すべきでしょう。
⑥ 担保権は、民法上の担保物件のみでなく、買い戻し権や譲渡担保権も含まれます。ただし、受遺者の権利の存在の余地を残さないような第三者の権利があり、それによって追奪を受けた場合は、第996条の問題です。すなわち、「遺贈は、その目的である権利が遺言者の死亡のときにおいて、相続財産に属しなかったときは、その効力を生じません。」との規定です。
⑦ 第三者の権利は、遺言作成前に成立したものであると、作成した後に成立したものであるとを問いません。また、遺言者が、第三者の権利の存在を知ると否とを問いません。第三者の善意・悪意も関係ありません。
⑧ 遺言者が遺贈の目的物の上に存在する第三者の権利を消滅させるべきことを請求する権利を有していたときは、この消滅請求権は、遺贈の目的物または権利の従たる権利として、受遺者に移転すると解すべきです。たとえば、遺言者が、抵当権や借地権などの設定されている土地を、これらの権利を消滅させる約束のもとに買って、これを遺贈した場合は、受遺者は売主に対してその抵当権などの消滅を請求し得ます。
⑨ 遺言者が、遺贈義務者に第三者の権利を消滅させる義務を課する旨の意思、あるいは受遺者に債務をも負担させる意思を表示しておれば、それにしたがうことになります。
記事作成 司法書士・行政書士 美馬克康
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