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受遺者の担保請求権 越谷の相続・遺言・相続放棄などのご相談は美馬司法書士・行政書士事務所
総説
民法第991条は、「受遺者は遺贈が弁済期にいたらない間は、遺贈義務者に対して、相当の担保を請求することができる。停止条件附の遺贈についてその条件の成否が未定である間も、同様である。」と規定しています。
本条の異議
① 本条は、停止条件付または始期付の遺贈において、受遺者が遺贈義務者に対して、相当の担保を請求しうる旨を定めています。
② 弁済期が遺言の効力発生時より後になる場合には、弁済期において、遺贈義務者が無資力化する恐れがあるため、受遺者を特に保護する趣旨で、この規定が設けられたのです。
③ 条件付権利者は民法総則によって保護されてはいますが、本条はその趣旨をさらに徹底させたものです。
④ 立法者の質疑応答に対して、次のような受け答えがあります。
質問者が「受遺者には保護が厚くて結構だが、相続人にとって酷なことではありませんか。」と質問したことに対して、立法者は次のように答えています。すなわち、「相続人はそれだけの義務は履行すべきものと覚悟しているのですから、すぐに相当の担保を供すればいいでしょう。条件付の場合は、供託さえしておけばよいのです。供託すれば、担保になるからそれでよいのです。必ずしもこれが酷であるということはありません。」と説明しています。
適用について
① 本条は、一般に、特定受遺者にのみ関する規定と解されています。しかし、立法者は本条の適用を、特定受遺者の場合に限定する意図はもっていなかったように思われる、と解する考えもあります。
② 実質的にみても、本条は、包括受遺者の場合にも、適用されて良いのではないかという考えがあります。なぜなら、条件成就前、または期限到来前の包括受遺者は、遺産分割の協議または審判の当事者たりえないし、さりとて他の相続人や包括受遺者のなす遺産分割を阻止すべき権限を有するわけではないからです。
③ そうして、遺産分割後、遺贈義務者たる相続人や包括受遺者が無資力化する恐れがあることは、特定遺贈であろうと包括遺贈であろうと異なるところはないのです。そうだとすると、本条を特定受遺者のみに関する規定と解するのは、狭きに失するものというべきだとしています。
④ 本条は遺言解釈の補充規定であり、遺言者がこれと異なる意思を表示したときは、遺言者の意思が優先します。明文の規定はありませんが、そのように解するのが当然かと思います。
担保の内容
① 受遺者が請求しうる担保の内容や種類については、特に制限がありません。
② 「相当」なものでありさえすれば、受遺者が、保証人を立てさせること、質権・抵当権を設定させることなど、いかなる担保を請求することも可能です。
③ 特定物遺贈の場合、その目的物自体に、質権や抵当権を設定させることもできます。特定不動産の場合には、所有権移転保全のための仮登記を求めることもできます。
④ 「相当の」担保というのは、受遺者の権利を保全するのに、必要かつ十分な程度の担保のことですが、その判断は終局的には裁判所にこれを委ねるほかにはないでしょう。
請求の方法
① 請求の相手方は、遺贈義務者たる相続人または(および)包括受遺者です。
② 相手方が数人あるときは、その各人に対して担保の請求ができますが、その場合には、各人の相続分または受遺分に応じる限度でしか、これを請求することができません。
③ 担保供与につき、共同相続人に連帯責任を負わせる旨の遺言意思ありと解釈することが望ましいとする見解もあります。これに対して、遺言の文言上明らかでない限り、分割責任と解するほかないと思われる考えもあります。
④ 相手方が、担保の請求に応じないとき、または担保の程度・方法につき協議が整わないときは、受遺者は裁判により担保の供与を請求することができます。
⑤ これは、家庭裁判所の審判事項ではないので、通常の訴訟手続きによるほかないと解されています。ただし、遺産分割審判に際して、家庭裁判所が、条件成就前または期限到来前の受遺者を利害関係人として、審判手続きに参加させることは認めてよいと解されてよいでしょう。
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