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相続分の指定と遺留分 越谷の相続・遺言・相続放棄などのご相談は美馬司法書士・行政書士事務所
(遺言による相続分の指定)
民法902条
1. 被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。
2. 被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前二条の規定により定める。
平成30年改正前の議論
旧法では、本条1項ただし書において被相続人または委託を受けた第三者による相続分の指定は、遺留分に関する規定に違反することができないと定められていました。
そこでの「遺留分に関する規定に違反することができない」の意味内容については、見解が分かれていました。
第一の見解は、遺留分を侵害する限度において、相続分指定が当然に無効になるとする(当然無効説)がありました。第二の見解は、遺留分侵害行為は単に侵害を受けた遺留分減殺請求に服せしめられるとする(減殺説)です。
第二の見解は、相続分を指定した被相続人の意思を尊重し、遺留分権利者からの減殺請求という意思表示に委ねるべきだとする考慮にもとづくものです。改正前の通説は、こちらの第二の見解でした。
もっとも減殺説に立つとしても、遺留分減殺によって遺贈や生前贈与の減殺のような個別財産の取戻しがなされるのではなく、遺留分を侵害する相続分指定の修正がされることになります。
そのうえで判例は、遺留分の割合を超える相続分を指定された相続人の指定相続分が、その遺留分割合を超える部分の割合に応じて、修正されるとする考え方(遺留分超過額説)を採用していました(最高裁判所決定平成24年1月26日)。
平成30年改正の内容
旧本条1項ただし書の削除
新法下では遺留分の金銭債権化(遺留分侵害額請求権)にともない、相続分の指定による遺留分の侵害について、次の2つの見解が示されました。
第一は、改正前の判例の立場と同じく、相続分が修正されるとする考え方です。その結果として、遺留分権利者も遺産分割に参加することになります。
第二は、金銭債権化する以上は、遺留分権利者は遺留分侵害額に相当する金銭を請求することしかできないとする考え方です。この結果、遺留分権利者は遺産分割に参加することはできません。
法制審議会民法(相続関係)部会では、遺留分権利者が有する権利が金銭債権化された以上は、後者の立場が相当であるとされました。
このことを前提に、遺留分を侵害する相続分の指定がされた場合も、遺留分侵害額請求権の行使の対象となることが明文化されました。
また、相続分の指定による遺産の割合的取得についても、受遺者または受贈者の負担額の算定基準となる旨の規定が設けられました。
以上のことを踏まえ、本条1項ただし書は不要になり、削除されることになりました。
相続分の指定と遺留分侵害額請求にかかる負担額
1047条1項括弧書は、受遺者または受贈者の負担額の算定にあたり、「相続分の指定による遺産の取得」が基準になる旨を定めています。
もっとも「相続分の指定による遺産の取得」という文言が指定相続分に応じた相続分の取得(遺産共有の持分)と指すか、それとも指定相続分に応じて遺産分割がされた結果の財産取得を指すか、明らかではないとの指摘があります。
この点について、特に相続分の指定による遺留分侵害に限っては、当然無効説に依拠し、修正された相続分を前提に共同相続人間で遺産分割を行うこととすることで、遺産分割の処理と遺留分侵害額の齟齬にかかる問題の発生を防ぐことも可能だったとする論者もいます。
この点には、相続分の指定という行為の性質が遺留分侵害の前提となる相続財産の帰属とその取戻しの発想に必ずしも馴染まないとする問題意識が大きく関わっているようです。
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