相続の一般的効力(その6)

① 慰謝料請求権の相続に関しては、当初の判例は、被害者が慰謝料請求の意思表示をすれば、それ以降通常の金銭債権として相続され、被害者の一身に専属するものではない、としました(大審院判決明治43年)。

 

② そして、被害者保護をはかるため慰謝料請求の意思表示を緩和して、「残念残念」や「向こうが悪い」と言いつつ死んだ場合、さらに、「お母さん、痛いよ」と言って死んだ場合も、慰謝料請求の意思表示が、あるとしています(大審院判決昭和2年ほか)。

 

③ 他方、「助けてくれ」と言いながら死んだ場合は、それに当たらないとしました(東京控訴院判決昭和8年)。

 

④ こうした判例に対しては、慰謝料の意思表示ができない即死とか重傷の場合に、被害者に不利となりますから、批判も強かったようです。

 

⑤ その後、最高裁判所は、慰謝料請求権は、被害法益が被害者の一身に専属するのみで、単純な金銭債権であるとして、被害者の慰謝料請求の意思表示の有無を問わず、当然に相続される、と判示しました(最高裁判所大法廷判決昭和42年)。

 

⑥ なお、判例のように、相続を肯定する場合、相続された慰謝料請求権と、遺族の固有の慰謝料請求権との関係が、問題になります。

 

⑦ これについて、判例は、両者は、被害法益を異にし併存し得る、としています(最高裁判所大法廷判決昭和42年)。

 

⑧ 実務上は、慰謝料額は、裁判官の裁量により決定されることから、併存を認めたことにより、いずれか一方のみの場合に比較して、金額に大きな差が生ずるわけではない、とされています。

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