推定相続人の廃除(その1)

民法第892条

遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

 

① 相続人廃除は、被相続人の意思によって、推定相続人の相続資格を奪う制度です。相続欠格が、被相続人の意思とは無関係に、一定の行為(作為・不作為)をなせば、当然に相続資格を失う制度とは、異なるところです。

 

② なお、被相続人の意思によって、相続資格を剥奪するとはいえ、その意思には、ある程度の合理性を要するという立場から、その意思だけでは足りず、家庭裁判所の審判が必要です。

 

③ 廃除の対象となり得るのは、遺留分を有する推定相続人です。第1028条によると、兄弟姉妹を除く相続人は、遺留分権利者です。

廃除の時点において、相続人となる者が、配偶者・子・孫である場合に、その一部または全部から相続資格を奪いたいと考えるなら、相続人廃除の手続きを、とらなければなりません。

 

④ 廃除をしておかないと、例えば前記の配偶者・子・孫が相続人の場合、被相続人が全財産を第三者に遺贈しても、前記相続人は、遺留分を主張することによって、第1028条が定める割合に、法定相続分を乗じた割合の財産を、確保する事ができます。

 

⑤ 結局のところ、廃除をしておかないと、被相続人が、財産を承継させたくないと考えている相続人も、財産を取得することになります。同様の結果は、被相続人が、推定相続人の相続分をゼロと指定した場合(第902条)にも、生じます。

 

⑥ それゆえ、推定相続人が、遺留分を放棄しているとき(第1043条)には、この者を排除する必要はありません(東京高等裁判所決定昭和38年)。

 

⑦ 推定相続人が、兄弟姉妹のみであるときには、被相続人は、全財産を第三者に遺贈することが可能です。兄弟姉妹は、遺留分を有しない結果、相続人である兄弟姉妹に、何らの相続財産を承継させないことができ、あえて相続人廃除をする必要はありません。

 

⑧ なお、相続人の配偶者に、廃除理由があるとしても、そもそも相続人ではない以上、廃除は問題とはなりません(東京家庭裁判所審判昭和50年)。

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