相続人の欠格事由(3の1)

民法第891条

次に掲げる者は、相続人となることができない。

(1)故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

(2)被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。

(3)~(5)は、「相続人の欠格事由(3の2)」、「相続人の欠格事由(3の3)」。

 

① 本条が定める相続欠格と、第892条が定める相続人の廃除とは、相続資格を認められた者から、相続資格を奪う制度です。

 

② 相続欠格は、被相続人の意思いかんを問わず、法律上当然に相続資格を奪います。

一方、相続人の廃除は、被相続人の意思によって、はじめて資格を剥奪する点で、異なっています。

 

③ さらに、廃除にあっては、その取消しという制度があるため、一度廃除されても相続資格を回復する可能性があります。しかし、取り消しという制度が規定されていない欠格では、一度欠格事由に該当すると、永久に相続資格を失います。

 

④ 欠格事由は、被相続人の意思を問わないことから、廃除事由に比べ、不法性が一層強いものが、あげられることになります。

 

⑤ 1号の欠格事由は、被相続人または先順位もしくは同順位相続人に対する殺人行為によって、刑に処せられたことを要します。既遂と未遂とを問いませんが、故意行為であることが必要です。したがって、過失致死は、欠格事由とはなりません。

 

⑥ 判例には、本号の定型に該当しても、違法性ないし責任性がないときには、欠格にはならないとするものがあります(広島地判昭49年)。刑事責任を前提とする本号の規定から、刑法上の責任追及をすることが出来ない以上、該当しないというべきでしょう。

 

⑦ また、刑に執行猶予が付され、猶予期間を無事に終了したときも、欠格とはならないというのが、多数の考え方です。

 

⑧ 2号の欠格事由は、被相続人の殺害を知りながら、告発・告訴をしないことです。

 

⑨ 告発とは、資格を問わず、被相続人の死亡が犯罪によるものと考える者が、犯罪事実を口頭または書面で、検察官または司法警察員に、申し出ることです。

 

⑩ 告訴とは、被害者である被相続人の配偶者、直系親族および兄弟姉妹の関係にある者が、犯罪事実を口頭または書面で、検察官または司法警察員に、申し出ることです。

 

⑪ もっとも、相続人に是非の弁別がないとき、殺害者が、自己の配偶者または直系血族であるときは、告訴・告発をしなくても、欠格に該当しません。告訴・告発を期待することが、できないからです。

 

⑫ なお、捜査機関が、独自に捜査にかかっているときには、告訴・告発をしなくてもさしつかえないと、解すべきでしょう。犯罪事実がうかがえるにかかわらず、捜査機関が動き出していないときに限って、本条を適用するのが妥当と解するのが、通説です。

 

⑬ 判例には、捜査機関が動き出して告訴告発の必要がなくなった後に、犯罪事実を知ったときには、本号に該当しないというものがあります(大判昭7年)。

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