相続回復請求権

民法第884条

相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする。

 

① 相続に関して、相続回復請求権という権利が存在することを前提に、その請求権が消滅時効にかかる旨を、規定したものです。

 

② 相続回復請求権の原告は、相続によって相続財産を承継したことを理由に、包括財産としての相続財産、またはそれを組成する個々の物の、引渡しを求める者です。包括受遺者も、原告になります。

 

③ 被告は、相続人であると主張して、相続財産の全部または一部を占有する者、いわゆる表見相続人です。

問題は、相続人から相続財産を承継した者、つまり第三取得者が、相手方となるのでしょうか。あるいは、単なる時効の援用者に過ぎないのでしょうか。

 

④ これについて、共同相続人の一人が、勝手に単独相続登記をして、不動産を処分した場合の譲受人につき、右相続人が本条の時効を援用し得ない以上、譲受人もまた援用し得ないとの、判例が参考になります(最高裁判所判例平成7年12月5日)。

 

⑤ すなわち、共同相続人の一人が、時効を援用することができる場合には、第三者もまた時効を援用し得ることになります。時効援用の場は、真正相続人から相続財産の引渡し、事件の表示としては、不動産移転登記抹消登記手続請求となります。これは、第三者もまた被告適格を有することを、前提としているのです。

 

⑥ 相続回復請求権は、一定の期間経過で消滅します。「相続権を侵害された事実を知った時から」五年で、時効によって消滅します。また、「相続開始の時から二十年を経過したとき」も、消滅します。

 

⑦ 表見相続人またはそれからの転得者のもとで、取得時効が成立することがあります。共同相続人による時効取得につき、最高裁判所の判例があります。

 

⑧ 共同相続人の一人が、単独に相続したものと信じて疑わず、相続開始とともに相続財産を現実に占有していました。そして、その管理、使用を専行して、その収益を独占しており、公租公課も自己の名義で、自己負担で納付していました。これについて、他の相続人は、何ら関心を持たず、異議も述べなかったのです。

 

⑨ この場合、前記相続人は、その相続の時から、相続財産につき単独所有者として、自主占有を取得したものというべきであるとして、時効取得を肯定しています(最高裁判所判例昭和47年9月8日)。

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