損害賠償請求権の相続

相続総説

  1. 相続に関しての一般的効力を、民法第896条は規定しています。
  2. 民法第896条 「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」
  3. この民法上の規定により、相続の一般的効果として、被相続人の死亡により被相続人に属していた一切の権利義務が、包括的に相続人に承継されます(包括承継)。
  4. この効果は、法律上当然に生じる旨を定めたものです(当然承継)。 すなわち、相続人が相続開始の事実を知るか否かは、関係ありません。 また、不動産についての相続登記の有無も、関係ありません。

 

債権の相続 

  1. 被相続人が、債権を有していた場合、財産の一種として相続されるのが、原則です。
  2. 損害賠償請求権も、相続されます。 ただし、生命侵害による損害賠償請求権については、問題があります。 以下で、検討いたします。

 

損害賠償請求権の相続

  1. 不法行為による損害賠償請求権や、債務不履行による損害賠償請求権は、財産上の権利として、相続されます。
  2. ただし、生命侵害の場合に生ずる、財産的損害の賠償請求権、非財産的損害の慰謝料請求権について、若干の問題があります。
  3. それは、死者という権利主体性の問題です。
  4. さらに、慰謝料請求権の場合は、死者の一身専属性からも問題があります。

 

財産的損害賠償請求権の相続

  1. 不法行為による損害賠償請求権に関して、検討します。
  2. 被相続人が、例えば交通事故で即死した場合、その人は死亡によって権利主体でなくなります。
  3. 権利主体でなくなるということは、その人が、生命を奪われたことによる損害 (生存していたら、得られたであろう収入) 賠償請求権を、取得できないはずです。
  4. そうすると、その相続ということも、ありえないことになります。 論理上は、このような帰結となるはずです。
  5. しかし、これは、負傷後の死亡に比較して、はなはだしく不公平です。 負傷後の死亡だと、負傷により被害者本人に発生した、財産的損害の賠償請求権が本人の死亡により、相続人に承継されるからです。
  6. どう考えても、身体侵害よりも重い生命侵害の場合に、損害賠償請求権が認められないとの不均衡は、おかしい考えです。
  7. 最高裁判所の判例は、この不均衡を避け、相続を認めています。
  8. すなわち、即死の場合も、致死傷と死亡との間に、観念上時間的間隔が あり、その時に、被害者に、損害賠償請求権が発生します。 そして、被害者の死亡によって、その損害賠償請求権が相続される、としています。
  9. この解決は、妥当な考えです。ただ、死者に権利主体性を認める点で、不整合さが残ります。 しかし、実務上は、定着しているようです。

 

慰謝料請求権の相続

  1. 非財産的損害賠償請求すなわち慰謝料請求権については、一身専属性の問題があります。
  2. すなわち、死者のみが、慰謝料請求権を有するのではないかとの問題です。
  3. 初期の判例は、被害者が、慰謝料請求の意思表示をすれば、それ以降通常の金銭債権として相続される。すなわち、被害者の一身に専属するものでない、としました。
  4. この場合の被害者の慰謝料請求の意思表示は、意思の表白をもって足り、加害者に到達することを要しないと、されました。
  5. また、その意思の表白も、緩やかに解されていました。
  6. たとえば、「残念、残念」とか、「向こうが悪い」と、いいつつ死んだ場合は、意思表示があり、とされました。 さらに、「お母さん、痛いよ」も、意思表示とされました。
  7. しかし、「助けてくれ」は、それに当たらないと解されました。 これは、意思表示ができないほどの重傷とか、即死の場合は、被害者に不利です。
  8. その後の最高裁判所は、被害者の意思表示に慰謝料請求権は、当然に相続されるとしました。 慰謝料請求権は、被害法益が被害者の一身に専属するのみで、単純な金銭債権として、意思表示の有無を問わず、当然に相続されると、解したのです。

 

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