死亡危急者遺言

病気やケガなどの理由で死が差し迫った人の場合、厳密さを緩和した方式での遺書(死亡危急者遺言)が認められています。死亡危急者遺言とは、遺言の意思を口で伝えて行なう「口授型の遺言方式」です。

この場合は、以下の手順で遺言を行ないます。

  1. 複数の承認が立ち会って、うち1人に遺言の趣旨を話して伝えます。
  2. 口授を受けた証人は、遺言の内容を筆記します。
  3. 遺言者および他の証人に読み聞かせて筆記の正確さを承認してもらいます。

このように、公正証書遺言に似た手続(後述)を踏みます。

しかし、この方法では公証人が関与していないため、後に家庭裁判所の確認を得て初めて効力が発生します。

 

死亡危急者遺言の要件・証人の関与

病気やケガなどの理由で死が差し迫った人が口授で遺言をしようとするときは、証人3人以上の立会いが必要です。立ち会った証人の1人に遺言の趣旨を口授します。

口授を受けた証人は、その内容を筆記して遺言者と他の証人に読み聞かせるか、閲覧してもらいます。各証人は、その筆記が正確であることを承認した後に、それぞれ署名・押印をする必要があります。

 

死亡危急者遺言の要件や証人についての判例各種

署名は証人自身が行なう必要があります。代理人の署名は認められません(大審院判決大正14年)。

押印は、印鑑だけでなく拇印でも有効です(大審院判決大正15年)。

押印は署名と違って他人に指示して代わりに押印してもらっても有効です(大審院判決昭和6年)。

署名・押印は遺言者の面前で行なわなくても構いません。遺言書を作成する過程で遅れずに行なわれれば、遺言者がいない場所でなされた署名・押印でも遺言は有効です(最高裁判例昭和47年)。

ただし、証人の署名・押印は遺言者が生きている間に行なわなければいけません(大審院決定大正14年)。

 

死亡危急者遺言の要件・その他

遺言者が口がきけない場合は、証人の前で遺言の趣旨を、通訳人の通訳により申述して、口授に代えなければなりません。

遺言者や証人が耳が聞こえない場合は、筆記内容を通訳人の通訳により伝えて、読み聞かせに代えることができます。

死亡危急者遺言では、遺言をした日付や証書の作成日を遺言書に記載することは有効要件ではありません。遺言書に作成日として記載された日付が不正確だった場合でも、遺言書は無効とはなりません(最高裁判例昭和47年)。

死亡の危急に迫った者のための特別の方式ですので、遺言者の署名・押印は必要とはされていません。

 

死亡危急者遺言の確認

死亡危急者遺言の場合、作成された遺言書は前述の通り、家庭裁判所に請求して確認の審判を得る必要があります。

家庭裁判所への請求は、証人の一人または利害関係人が行なう必要があります。しかも、遺言の日から20日以内という期間制限があります。

家庭裁判所への確認手続は、遺書が遺言者の真意に出たものかどうかを判定するためのものです。

遺言の確認にあたり、遺言者の真意について家庭裁判所が「確信」するまでもなく、「一応遺言者の真意にかなう」程度の緩和された心証で事足ります。

つまり、その程度の心証が得られた場合には、家庭際場所はその遺言を確認しなければならない、とされています(東京高等裁判所判決平成9年)。

 

死亡危急者遺言の失効

死亡危急者遺言をした者が、緊急状態を脱して普通の遺言を残せるようになってから6ヶ月以上生き延びた場合には死亡危急者遺言は効果を失います。

死亡危急者遺言は、あくまで死に直面した人が緊急で遺言を残すための特別な方式ですので、遺言者の真意確保という点では問題が残ります。そのため、普通の方式で遺言を残せるようになった後まで効力を残す必要性がありません。

自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言といった普通の方式で遺言を作り直しましょう。

 

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