遺産分割の当事者

遺産分割とは、亡くなった方(被相続人)が遺したすべての財産を、それぞれの相続人に配分する手続をいいます。遺産分割は、遺産内容や相続人のもろもろの事情を考慮して行なわれます。これは民報第906条が規定しています。

民法第906条(遺産の分割の基準)
「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」

 

遺産分割の時期

共同相続人は、被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでもその協議、遺産の分割をすることができます(民法第907条第1項)。

共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。

そして、遺産分割請求権には時効がありません。いつまでに遺産分割をしなければならない、という制限がないのです。

ただし、遺産を構成する個々の財産については、取得時効が完成することがあります。その場合は結果的に遺産分割の対象でなくなってしまいます。

 

遺産分割の当事者

遺産分割の当事者は共同相続人です。共同相続人のうち、問題となるのは次の者です。

  1. 未成年者
  2. 胎児
  3. 行方不明者
  4. 相続分の譲渡を受けた者
  5. 包括受遺者・特定遺贈の受遺者
  6. 裁判所が認めた、相続債権者・相続人の債権者

 

未成年者

共同相続人の中に未成年者がいる場合、親権者が代理人となることは注意を要します。親権者が未成年者の法定代理人として遺産分割手続を行う場合、親権者と未成年者または未成年者間の利益相反行為となる場合があるのです。

「子供の取り分を減らして、自分の取り分を増やそう」
「反抗的な上の子の取り分を減らして、従順な下の子の取り分を増やそう」

したがって親権者は、子である未成年者のために特別代理人の選任を、家庭裁判所に請求しなければなりません(民法第826条)。

1.親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2.親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

胎児

相続人の中に胎児がいる場合、相続・遺贈に関しては、すでに生まれたものとみなされます。

  • 婚姻外の子供および胎児の相続
  • 胎児名義の相続登記

この解釈について判例は「胎児が生きて生まれた場合に、相続開始時に遡及して相続権を認める」という立場を採っています。つまり、胎児の期間中でも権利能力が存在すると認めたものではない、ということになります。したがって、胎児を除外して、遺産分割が可能となります。

そして、胎児が生まれた後に、手続のやり直しをすることになります。あるいは、価額のみの支払請求権を、認めることもあります(民法第910条の類推適用)。

相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。

しかしながら、この判例は胎児の保護に欠けるのではないかと、問題指摘がされています。

判例に反対する学者の考えは、胎児中でも遺産分割の当事者となることを認め、法定代理人(特別代理人が必要です)による胎児の遺産分割が可能です。

しかし、この考えでは死産のときに複雑な問題が生じます。現実的には、胎児がいる場合は、無事に出生するまで遺産分割を待つべきである、と考えられています。

 

行方不明者

行方不明者がいる場合には、不在者財産管理人が選任されます(民法第25条以下)。

従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。

そしてその者が、家庭裁判所の許可を得て、遺産分割協議に参加することになります(民法第28条)。

管理人は、第103条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。

 

相続分の譲渡を受けた者

共同相続人の一人から遺産分割前に相続分の譲渡を受けた者は、相続人の地位を承継します。したがって、遺産分割手続の当事者であると解されています。

なお、遺産の中の特定の財産の持分の譲渡を受けた者は、遺産分割手続の当事者ではありません。この者は、通常の共有物分割の手続で解決することになります。

 

包括受遺者・特定遺贈の受遺者

包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有します(民法第990条)。

包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。

したがって、包括受遺者は遺産分割の当事者です。

これに対して、特定遺贈の受遺者は遺産分割の当事者ではありません。相続人の地位の承継者でないからです。

 

相続債権者・相続人の債権者

家庭裁判所は、遺産分割の申立てがあった場合、相当と認めるときは分割の申立があったことを公告して、利害関係人の参加を求めることができます(家事審判規則第105条第1項)。

家庭裁判所は、遺産の分割の申立てがあつた場合において相当であると認める ときは、その分割の申立てがあつたことを公告して、利害関係人の参加を求めることがで きる。

その結果、相続債権者や相続人の債権者は、遺産分割に参加できると解されています。

 

遺産分割 は、下記の項目をご紹介しています

 

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